【メルマガ】リスクに対応する総論を:「リスクアナリシス」 第141号  (2020年5月13日配信)

【メルマガ】リスクに対応する総論を:「リスクアナリシス」 第141号  (2020年5月13日配信)

☆リテラジャパンメールマガジンは「日本初のリスクコミュニケーション専門メルマガ」☆

リスクコミュニケーション、通称リスコミは近年、その必要性が重視されてきている“技術”です。社会ではさまざまなリスクが喧伝されています。食の安全は脅かされ、医療は信頼できない、と。しかし、それは本当でしょうか。リスコミはリスクを冷静に分析し、専門家の知識と社会を直接に結びつける技術です。

メールでは、独自書き下ろし、リテラジャパンが主宰している勉強会「場の議論」での、食、医療、環境の議論を「実況中継」し、リスク議論を深める場を提供しています。

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Litera Japan メールマガジン第141号  (2020年5月13日配信)

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○リスクに対応する総論を:「リスクアナリシス」
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横浜も日中は暑くなってきました。リテラジャパン 西澤真理子です。
在宅勤務の方も多いかと思います。私も同じです。運動不足です!
皆さま、お元気でしょうか。
緊急事態が発生し、メルマガを発行することが今日までかないませんでした。失礼いたしました。
今日は4月からこれまでに書いたものを皆さんにご紹介していこうと思います。
まずは皆さまにご紹介したい、リスク対応の枠組みがあります。「リスクアナリシス」というものです。

以下の記事で詳しくご紹介しています。

■■共同通信 47NEWS コロナ禍、精神論より政治家に求められるもの 科学的判断と有効な対策、分かりやすく伝えること(■■
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200512-00000003-yonnana-soci

様々な反応をお寄せいただきました。ありがとうございます。
上記の記事を少し補足します。

 

○政治判断のあり方○
危機時における「政治の判断」をドイツの例を取り上げ、分析しました。あくまでも「政治家」は何を基準にどう判断し、それを社会に伝え、社会の協力を仰ぐのかということです。
政治家の資質ということもありますが、どのような行動をメルケル首相が取ったのかをお伝えしました。
「専門家」の位置づけにも触れています。

 

○エンドポイント=経済活動の再開○
記事でお伝えしたドイツの政策のエンドポイントは「経済活動の再開」です。確かに、ドイツの死亡数は日本や諸外国よりも高いのは事実です。
しかし、この記事で問いたかったのは、感染リスクを低くしながら経済活動を再開して行く道筋は何かということです。

 

○リスクのトレードオフ○
上記に関係しますが、感染症の拡大防止と経済活動の再開ではリスクが「トレードオフ」されます。
ゼロか100か、白か黒かの二者択一では対応ができません。「人命をとるのか、経済をとるのか」という二択を突き付けず、ソフトランディングするためにどう判断して行くのかが問われます。

 

 

○リスク対応の総論・枠組みの「総論」の必要性○
このリスクアナリシスはリスクに対応するための確立された「総論」であり、大きな枠組みです。各個別の対応や方法は「各論」です。
各論にはリスク評価であれば、PCR検査や、ICUの数など細かい指標が来ます。
ドイツのやり方では「枠組み・総論」を明らかにし、それに基づき「各論」を進めています。
各論を先に持ってきて総論を論じることは、リスクアナリシスでは順番が逆です。

 

 

○再現性○
ある特定の事象が出てくるのは「偶然」なのか、「再現できるか」で大きく評価が違ってくることは、科学の分野では大前提かと思います。私の(社会科学の)分野でも重要なポイントとなってきます。
リスクアナリシスの考え方は、リスクを低く抑えるために実行する方法の再現性にこだわっています。
たまたま、何かの偶然が重なって上手く行っているのか、それとも、それは特定の方策により、リスクの低減が2,3回と再現できるのかが鍵です。
コロナ対応では、保健所や厚生労働省、基幹病院などの疲弊が顕著です。これから数年にかけて今の対応を何度もできるのか、という点もあります。これについては下の記事で解説を書いております。

 

■■共同通信 47NEWS 「防御」から「他人にうつさない」へ 医療崩壊防ぐために、伝わるメッセージを■■
https://this.kiji.is/626058070877979745?c=39546741839462401

その他いくつかの記事を書きました。よろしければご一読ください。

■■Newsweek 5月5日・12日ゴールデンウイーク合併号■■(*有料記事)
https://www.newsweekjapan.jp/magazine/273800.php
「専門家への信頼が崩れる時」にノンフィクションライター 石戸 諭さんの記事に西澤がコメントさせていただきました。
本記事では、「知っていること、それを伝えられることは別物」コミュニケーションの本質問題を石戸氏が問題提起しています。

■■共同通信 47NEWS 「日本だけは大丈夫」の思い込みは致命的■■
「日本だけは大丈夫」の思い込みは致命的ー具体的メッセージこそ国民の行動変容にー」が掲載されました。
https://this.kiji.is/622427162876101729?c=39546741839462401

■■読売新聞 コラム「OTECOMACHI」■■
「なぜ、今?」コロナの危機感に温度差…神経質になりすぎか」に専門家としてのコメントが掲載されました。
https://otekomachi.yomiuri.co.jp/news/20200417-OKT8T215737/

△ツイッターでも頻繁に発信しているのでよろしければどうぞご覧ください。

毎日新聞の夕刊に『「違い」大切に 面倒でも対話を』という、劇作家の平田オリザさんの記事が掲載されました。
リスクコミュニケーションも「対話」です。
「相手と見解が同じか違うかという二分法を避け、些細な違いを大切に発展させていく」。
「互いの大事にしているものを尊重することが肝要ではないか」。

セミナーもできず皆さんにお会いできないのは残念です。
様々な形で、オンラインで対話できたら幸いです。またどうぞご自愛ください。(以上)

 

 

2020-06-10T13:10:42+09:00 2020.06.10|Categories: メルマガ|