日 時: 2011年7月13日(水) 13:00 ~16:00
場 所: 東京大学 弥生キャンパス 弥生講堂アネックスセイホクギャラリー
主催:ドイツ・シュトゥットガルト大学環境技術社会学科 共催:リテラジャパン
「放射線の線量をどう考えればよいの?」「水、野菜や魚は安全なの?」
放射性物質の長期的影響の情報が錯綜している中、東京工業大学で放射線の生物へ与える影響を研究されている松本義久先生を講師にお迎えし、放射線の人体、食品への影響とこれからどう付き合っていけばよいのかのお話を伺いました。
松本先生は、テレビ朝日の『池上彰の学べるニュース1-緊急生放送(3月23日)』に出演され、番組公式参考書『そうだったのか!池上彰の学べるニュース 東日本大震災と福島原発問題』でも、放射線を解説されています。『朝まで生テレビ!「激論!脱原発と日本の未来」(5月27日放映)』にもご出演。最新号の『週刊新潮(6月30日号)』などにも多くコメントを寄せられている、放射線の専門家です。
実は私たちの身の回りには事故前から放射性物質が食べ物の中にも沢山あること。低線量の放射線のリスクについての考え方には様々あること。私たちの体には生体防御機能があること。100mSv(ミリシーベルト)以下の被ばくでの影響についてはあったとしても小さく、逆転可能な範囲であること。リスクを相対的に考え、バランスを持った考慮が大切など、お話をいただきました。
一時間ほどの松本先生のお話を受け、東京大学農学部教授の正木春彦先生(微生物専門)、毎日新聞東京本社生活報道部の小島正美編集委員、そして、シュトゥットガルト大学研究員でリテラジャパンの西澤がパネルディスカッションを通して質問を先生にしていきました。放射線のリスク情報をどう読み解くか、なぜ正確な情報が伝わらないのか。毎日新聞の小島氏は、メディアから見た風評被害のしくみを説明されました。
最後の会場からの質問のコーナーでは、多くの質問が寄せられました。
現在、寄せられた質問票への答えをQ&Aとして本ウェッブにて公開する作業を行っています。会場での議論の内容は、小島氏の新刊『正しいリスクの伝え方―放射能、風評被害、水、魚、お茶から牛肉まで―』(2011年6月 エネルギーフォーラム)に詳しくございますので、どうぞご覧ください。
当日は天候に恵まれ、企業、研究者、行政、メディアなど、70名近くの方のご参加がありました。
ご参加、どうもありがとうございました。
![]() 主催者ごあいさつ |
![]() 松本先生の講演 |
![]() パネルディスカッション |
![]() 会場との討議 |
![]() 会場からの質問 |
![]() セイホクギャラリー会場の様子 |
講師・パネリスト
松本 義久 | 東京工業大学原子炉工学研究所物質工学部門 准教授 |
---|
パネリスト(敬称略、順不同)
正木 春彦 | 東京大学大学院農学生命科学研究科 教授 |
---|---|
小島 正美 | 毎日新聞東京本社 生活報道部 編集委員 |
西澤 真理子(司会) | リテラジャパン代表、東京大学農学部非常勤講師 |
ビデオ公開
「講演編」では、講師である東京工業大学の松本義久先生の講演をお届けしています。
放射性物質の種類、強さ、その人体への影響まで分かりやすくお話しされています。
■講演 その1【約13分】
■講演 その2【約10分】
自然からの放射線、低用量の放射線の人体への影響について、そして、DNAの修復機能や生体防御の説明は、野球の例えも交えながらお話しされました。
なお、先生のスライドは公開しておりませんが、筑波大学で行われたマスコミ工学研究会で話された松本先生のスライドに類似しております。こちらをご参照の上、ビデオをご覧いただけますとより理解が深まるかと思います。
■パネルディスカッション その1【約13分】
「パネルディスカッション編」では、放射線のリスクコミュニケーションについての討論の様子をお届けしています。
その1では、食物に入っている放射性物質をどう考えたらよいのか。「基準値」を超えたらどうなるのか、今の科学の限界まで、講師とパネリスト、4名のやり取りをお聞きください。
■パネルディスカッション その2【約6分】
どうやって科学を伝えたらよいのか。風評被害はどう防ぐのか。食品への信頼はどう作り上げたらよいのか。その2では、会場からの意見も交えてリスクコミュニケーションが何を出来るのかを議論しました。