8月24日に開催しました人材育成講座の開催報告です。
4回目も、ゲストに日経BPコンサルの中野栄子さんをお迎えしました。
この会は参加型のリスクコミュニケーションがテーマでした。
実は、参加型のリスコミはわたしの学位論文にもなった研究テーマで、
長年研究してきました。
中野さんが講義を聞いての感想はどうだったのでしょうか?
聞いてみますと、
「欧米では成功していると思ったのですが、そういう訳ではないのですね」、
「日本ではコミュニケーションは『仲良くする』というイメージがありますが、
話を聞いて、『コミュニケーションは対立を前提』ということが分かりました」、
「難しいけれども、日本でもコミュニケーションをこつこつとやっていかないとなりません」、とのこと。
参加型の方法は注目されています。しかし、実際は思うようには
簡単にはいかないものです。コミュニケーション、プロセス、システムという
3つの点で困難があります。システムというのは、それをやって、一体どうするのか。
政策につなげたいのか、参考にしたいのか。実験なのか。
目的の部分がはっきりしない場合がとても多いものです。
8月26日の読売新聞の社説に、討論型の世論調査では
「原発ゼロ」の支持が最多であり、しかし、これを「世論」と考えるのは
早計であろう、とあります。
欧米では試行錯誤しながら参加型を実施してきました。
過去にも多くの研究がありますから、これらを生かすことが
大切と考えます。
☆☆
ご参考までに、以下は西澤の研究論文です。2003年のものはダウンロードできます。
西澤真理子 (2003) 「社会土壌が参加型リスクマネジメントに与える影響:
ドイツでの事例を基に」『社会技術研究論文集』1 (1),133-140.
西澤真理子 (2002)「市民に科学技術が評価できるのか:
遺伝子診断に関するドレスデン・コンセサス会議」岩波書店雑誌『科学』72:9,861-5.
☆☆
最終回の第五回には中野さんも参加が決まりました。
BS11のニュースキャスターの内野さん、中野さんと、
企業のリスコミの方向性を議論していきます。
皆さま奮ってご参加ください。