よくお問い合わせにあるのが、ドイツで採用されているセシウムの基準値が
日本より厳しいかということです。
答えはNoです。
『婦人公論』 2012年7月号のp132に、ドイツの基準値に触れ、「ドイツは8ベクレル」という
記述があります。
少し説明します。
ドイツは、EUの放射性物質の「混入上限値」を採用しています。
これには2種類あります。ひとつは域内の流通の食品に関するもの、もうひとつは日本からの輸入品です。
前者の基準値は(セシウム 一キロ当たりのベクレル 以下同じ)
飲料水 1000
牛乳 1000
一般食品 1250
乳児用食品 400
です。
日本からの輸入品については、
飲料水 200
牛乳 200
一般食品 500
乳児用食品 200 です。
今までの日本の暫定規制値をほぼそのまま適用しています。
現在の日本の規制値は、
飲料水 10
牛乳 50
一般食品 100
乳児用食品 50 です。
「混入上限値」とは別に、実際の「対策レベル」の数値がドイツにはあります。
例えば、肉などの一般食品であれば600ベクレル以上のものは市場に流通できません。
チェルノブイリの事故の後、バイエルン州などの森が
汚染され、現在でも野生の動物やキノコには高いセシウムが検出されているからです。
狩猟で生計を立てている生産者も多いですから、600以上が検出された場合には、
政府が補償するシステムが取られています。
なお、ドイツの監督官庁は、BfS(ドイツ連邦放射線防護局)です。
食品と放射線についてのサイトはこちらです。
チェルノブイリ後のセシウムの残留などのデータが豊富ですが、
残念ながら多くの文献がドイツ語です。
以下、ドイツ語のリンクです:
セシウム137の実測値などの最新のページはこちら。
少し古いですが、チェルノブイリ事故での食品への影響についてのページはこちら
各国の基準値は分かりにくいものです。
最近、東京大学の食の安全研究センターががまとめた、
『畜産物中の放射性物質の安全性に関する文献調査』(ダウンロード可)
http://www.frc.a.u-tokyo.ac.jp/event/radioactive/report.html
の64-65ページに各地域、各国の基準値の一覧表が出ています。
参考にされてください。
また、各国の文献の原典にあたることも、
間違いを減らす手段です。