【場の議論・リテラシー勉強会】「パルシステムと持続可能な消費・コンビニ弁当で老ける?報告」 4月12日 / 「薬のリテラシー」 5月11日 報告

【場の議論・リテラシー勉強会】「パルシステムと持続可能な消費・コンビニ弁当で老ける?報告」 4月12日 / 「薬のリテラシー」 5月11日 報告

=「患者と薬のリテラシー:薬とサプリで不調にならないための コミュニケーション」 5月11日

第53回の場の議論を開催しました。元PMDA担当官、企業からは薬事情報担当者から話を受け、メディア、事業者、研究者で対話しました。場所は竹橋のパレスサイドビル9F レストランアラスカ。

    

 

 

 

 

 

*「場の議論」はコミュニケーションの実践の場です。

初めて参加される方は「基本のリスクコミュニケーション」もしくはビジネスセミナー にご出席ください。こちらでリスクコミュニケーションについて受講後、ご参加ください。未受講の方のご参加はお断りいたします。但し、メディア記者除く。
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イラスト:もりひろこ

=リテラシー勉強会発表から「コンビニ弁当で老化?」の解説、まとめました。

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電子レンジで老化は起こるのか:食品中のAGEからの考察

ヘルスヴィジランス研究会 理事 齋藤充生
(薬剤師、博士(薬学))

全文のPDFダウンロードはこちらhttp://literajapan.com/wp-content/uploads/2018/02/76695f0e6e668877cfdaa067a5d293c0.pdf

【全文】

糖とタンパク質・アミノ酸が存在すると、メイラード反応を起こすことが知られている。メイラード反応では、反応性に富んださまざまな物質が生成され、終末糖化産物(Advanced glycation end products: AGE)を産生する。 生体におけるメイラード反応の影響 化学と生物, 2015; 53(5) 299-304. (日本農芸化学会) https://katosei.jsbba.or.jp/view_html.php?aid=376

糖化やメイラード反応は体内でも起こり、身近なところでは、検診などで測定されるHbA1Cもヘモグロビンの糖化を測定しており、赤血球の寿命の1~2ヶ月間の血糖値の指標となる。
メイラード反応は糖とタンパク質・アミノ酸の量、接触時間、温度により促進されるため、老化により、体内のタンパク質と糖が反応して産生するAGEが増加する(軟骨の色素沈着など)ことが知られている。また、糖化したタンパク質の分解により遊離したAGEが腎臓に集積することも報告されている。
一方、食品中にも糖とタンパク質が存在するので、加熱調理により、メイラード反応が起こり、反応が進むときつね色(褐変)、香ばしさなどとして認識される。一方、ポテトチップスやコーヒーの中から検出される発がん性物質として注目されたアクリルアミドもメイラード産物の一つである。

 

最近、電子レンジで老化を起こすとの説が流行している。

コンビニ弁当の温め過ぎは「老け」を早める?
http://diamond.jp/articles/-/165675

 

これは、電子レンジ内で照射されるマイクロ波により、食品中に大量のAGEが産生し、これを摂取することで体内のAGEが増加して、老化を引き起こすというものである。

この説の背景として、先に挙げた老化で体内のAGEが増加すること、AGEを多く含む長時間(30分以上)揚げた餌を与えた実験動物で血糖値等に影響があったとする報告などがあると思われる。

しかしながら、これは、米国では、NIHの資金により各種食品のさまざまな調理・加工条件でのAGEの測定が行われ、遅くとも2010年には決着がついていた問題である。

Advanced Glycation End Products in Foods and a Practical Guide to Their Reduction in the Diet
J Am Diet Assoc. 2010 June ; 110(6): 911–16.e12.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3704564/?tool=pmcentrez

論文は上記のように無償で公開されており、AGEの産生は水分量と加熱温度で決まること(同じ食材でも揚げる、焼く調理法より、煮る、蒸す調理法の方がAGE産生が少ない)、電子レンジによる調理は短時間(6分以内)であり、通常の乾熱調理法より産生が少ないことがデータで示され、本文にも明記されている。
マイクロ波によりある種の化学反応が促進するという研究もあるが、すくなくとも実測値で見る限り、食品中のメイラード反応が他の調理法に比べて促進されるというデータはない。これは、通常条件の電子レンジの加熱で食品の褐変が起こらないことからも直感的にも明らかである。
また、実験動物で超大量にAGEを摂取した実験はあるが、ヒトで通常の調理で発生する量のAGEを摂取して健康に影響するという直接的で明確な証拠はない(食生活に関する疫学的な調査はあるが、AGEが原因とは断言できない)。最近行われた研究でも、通常食(揚げる)と低AGE食で血中インスリン量や血糖値等の差異は認められていない。

Effects of a Low Advanced Glycation End Products Diet on Insulin Levels: The Feasibility of a Crossover Comparison Test
J Clin Med Res. 2018;10(5):405-410
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5862088/

 

形態学、考古学的な研究によると、ヒトは160~180万年前から火を使用していたとされており、火の使用と加熱調理はヒトの根源的な特徴でもある。
仮にヒトがAGE摂取により重大な健康影響を受けるのであれば、種として存続することはできなかったであろう。

The use of fire and human distribution
Temperature (Austin). 2017; 4(2): 153–165.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5489006  /

【解説終わり】

 

パルシステムが呼びかける持続可能な消費:エシカルな小売りの現在と将来」4月12日

第50回 リテラシー研究会(サステイナブルリテラシー研究会)を開催しました。テレビ東京『カンブリア宮殿』で生活クラブ生協が取り上げられたよう、今、消費のあり方が消費者の求める方向、健康志向・持続可能・アニマルフェルフェアという志向に変化しつつあります。今回は宅配で急成長している、パルシステム生活協同組合連合会さんの広報室のご担当者より、産直など、パルシステムが目指す方向性、事業展開についてお話を伺いました。

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研究会、次回は6月上旬の予定です。生活クラブさんをお迎えします。

 

*「リテラシー研究会」はコミュニケーションはリスコミ勉強会から引き継いだ、食・生活分野での持続可能性を考える実践の場です。初めて参加される方は「基本のリスクコミュニケーション」にご参加くださり、こちらでリスクコミュニケーションについての基本についてブリーフください。

企業関係者については、「場の議論 特別編」や ビジネスセミナー にご参加くださいますようお願いいたします。すでに開催した「場の議論 特別編」は、2017年12月開催「ゲノム編集」、2018年1月開催「サプリメントのリスク」「ネット炎上対策」、2018年5月開催「患者と薬のリテラシー」です。

2018-05-14T17:13:30+09:00 2018.02.08|Categories: リスコミ勉強会, 場の議論|