Litera Japan メールマガジン第152号 (2022年9月24日配信)
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日本の凋落と「アニマルスピリッツ」の不在
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涼しくなりました。台風の影響で不安定な三連休となりそうです。
こんにちは。リテラジャパン 西澤真理子です。
80歳近くでもJAL再建を引き受けられた京セラの稲森和夫氏が亡くなりました。ついにこの日が来てしまった。
代表作『生き方』など、氏の本は日本に帰国し会社を作った当初、乱読しました。
関連し、いくつか気になる本があったので今回は何冊かをご紹介します。
一冊目は『知徳国家のリーダーシップ』(北岡伸一、野中郁次郎)日経新聞出版です。
この本はリーダーシップとは何かを政治と経営の側面から広く深く掘り下げているお買い得本だと思います。
名著『失敗の本質』の筆者である経営学者の野中氏が、現代日本は米国式のMBA的な分析に陥り、分析過多に陥り、身体知を忘れたことだと指摘されています。本田宗一郎氏など、何名かのリーダーが本著に出てきますが、その一人が稲盛氏です。
稲盛氏は現場と「場」の共有を大切にしていた一人です。
稲盛氏との対談での強烈なエピソードがあります。JALの再建についての対談で最初はぎこちなかったが、突然に稲盛氏が「エンジンの音 囂々と 隼は征く 久野の果て」という軍歌を歌いだし、野中氏が「加藤隼戦闘隊でしたね」と、返すと、雰囲気が一変し、上手くいったそうです。この歌は、JALでのコンパで必ず大合唱していた歌だったそうです。
この本は野中氏の理論の根底にある哲学(フロネシス)も実例の中に散りばめられていて、政治の本としても経営の本としても読みやすいと感じました。(続く)