リテラジャパンメルマガ 第175号 『集団浅慮』という本を読んで

リテラジャパンメルマガ 第175号 『集団浅慮』という本を読んで

リテラジャパンメルマガ 第175号  2025年12月20日発行
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集団浅慮
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 今週の日経書評欄で紹介された古賀史健氏著『集団浅慮』を読了しました。この本はフジテレビの起用する中井氏という大タレントの性暴力がなぜ集団の誤りによって放置されてきたかを分析しています。副題にあるように、「優秀だった男たち」はなぜ道を誤るのか?が命題。ガバナンスの問題を考える上で、多くの人に勧める内容です。集団浅慮が当たり前になった組織で起きた性暴力に、集団浅慮が誤った対策を導き混乱を引き起こしていく。
 多様性がないオールドボーイズの日本組織では規模は小さいですが、よくある話だと思います。人権を理解しない経営層が、水に流し、穏便に対応した結果、人権無視の対応になる。その典型例がフジテレビ問題でした。

 本著の冒頭にあるよう、お薦めはフジテレビの第三者委員会の報告書を読むことです。
 ⇒https://www.fujitv.co.jp/company/news/250331_3.pdf 
 名前が明らかになっている幹部リストはほぼ男性で、その下に「女子アナ」のリストがあります。この最初の時点で男性集団が集団浅慮に支配されている組織ということが垣間見れます。
 どうしたらいいんですかね。
  ひとつは本に書かれているように、数。女性が「普通に」幹部にならないと組織は変わらない気がします。数が決め手だとの話は同感です。これは日本で労働力が不足する20年後のことなのでしょうか。

 暗澹としますが、報告書を読んでいて進化したと思うのが、デジタルフォレンジック技術。いくら削除しても記録は残ります。報告書の最後の頁に「foxcale(筆者注:デジタルフォレンジック会社) による削除データの調査の結果、特にB氏は、2022年5月9日から2025年1月 10日までに、有力出演者タレントU氏、中居氏、K弁護士との間でやりとりしたショート メールチャットデータ325件を2025年1月9日から2025年2月1日にかけて削除してい ることが認められた。」B氏とは被害者のAさんと中居氏の緊密な接点を仲介したフジテレビの編成部長です。削除しても復元されてしまうデジタル技術をあまり良くご存じなかったのかもしれません。
 Aさんは被害を受けた後にもB氏がタレントを起用していることに嫌悪感を覚えたと本にあります。それはそうでしょう。何も悪くない自分だけが被害に遭って、加害者が普通に仕事しているのです。
 私も日本で2回程、盗用で散々な目に遭った件があります。ひとつは、企画書から何からすべて作ったのに、相手の法人から一銭も払いがなかった例です。公的資金だったので文部科学省に3回程開示請求をすると黒塗りで出てきましたが、私の作った文書でした。開示された写真もわたしがドイツで写したものなので、笑っちゃいますよね。顛末と言えば、しぶしぶ、雀の涙の弁護士費用を支払ってきました。それまで行くのに何度も文科省に足を運び、6年かかりました。
 もうひとつは、福島でのデータ盗用です。調べて見るとこの人物は盗用に近い引用ミスを何度も繰り返していて、別の複数の機関から訴えられていました。これもAI技術が発達したからこそ調べられたと思います。普通に検索してもあまり引っかかってこないか、間違った情報を出してきますから。
 被害者としてはこういう人物がのうのうとしていることに、嫌悪感を覚えます。Aさんとはもちろんレベルが断然違いますが、明らかな不正をした人間をお目こぼして、組織が罰しないことは、二重に不快だと言うところは共通していると思います。これこそがガバナンスを狂わせる集団浅慮でしょう。
 ガバナンスと言えば、最近、東京大学医学部の准教授が収賄で逮捕されました。人格者でかつ腕のある脳外科の素晴らしい先生もいらっしゃるところでもありますし、不正は残念としか言えません。東京女子医大も素晴らしい先生が沢山いましたが、離れてしまいました。これも理事長が逮捕されていましたね。本にある通り、日本社会の集団浅慮という宿痾が経済のほころびと共に、明らかになってきている気がします。この本はお休みの際に読む価値のある本ですよ。書評にある通り、「わが社はフジテレビになりたいのか」と。

 最後に動画の宣伝です。https://www.youtube.com/watch?v=OCvaKCL_InE すでにご覧くださっているかもしれませんが、企業と地元の共生の話です。リスクコミュニケーションについても触れていますのでぜひご覧ください。 

 皆さま、今年もお疲れ様でした。どうぞよいお年をお迎えください。   (終わり)

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2025-12-20T14:11:52+09:00 2025.12.20|Categories: メルマガ|